
塩素は殺菌効果があるため、プールや水道水に含まれている成分です。
それが髪に影響があるという話は、よく耳にしますよね。
そこで今回は塩素は髪にどのような影響を与えているのか?髪が傷むのは本当か?解説します。
- 毛髪診断士
- 遠藤 颯
- 毛髪診断士。Webメディアにおいて6年間記事監修を務める。
10点以上のヘアケア&美容アイテムのプロデュース経験も。

プールの塩素は髪にダメージを与える
塩素と髪、の2つのキーワードで思い浮かぶのはプールではないでしょうか。
多くの人が利用するプールは塩素消毒によって衛生管理されています。
たとえば、屋外のプールは塩素が入っていないと1週間もしないうちに藻が発生して緑色になってしまいます。
そんな塩素の入ったプールに髪の毛がさらされると、どのような変化が起こるのでしょうか。
プールで泳いだときに髪に付着する塩素は、髪の毛の表面で内部を守るキューティクルと呼ばれるタンパク質で出来た組織を変質させます。
そうなると髪の毛表面のなめらかさが失われ、キューティクルは剥がれやすい状態に。
キューティクルが剥がれた髪は内部の繊維が露出している状態なので、タンパク質が流出してしまい、乾燥しやすい髪質になります。
このとき、髪の色を決定しているメラニン色素も一緒に流出してしまうため、色が抜けやすくなってしまいます。
美髪のために、プールに入る前には水を通さないゴム製キャップを用意しておくと良いでしょう。
水道水の塩素は髪に影響があるの?
塩素は水道水にも含まれており、完全に髪への影響がないとは言い切れません。
ちなみに、日本の水道水の遊離残留塩素濃度(塩素による殺菌処理が終わったあとに残る濃さ)は、0.1mg/L以上と水道法により定められており、地域差はあるものの0.5~1.0mg/Lのところがほとんどとなっています。
プールの遊離残留塩素濃度は少なくとも0.4mg/L以上、1.0mg/L以上1.5mg/L以下が望ましいとしています。(厚生労働省健康局生活衛生課より)
水道水も髪につけば塩素によって少なからずダメージを与えることが考えられます。
金属イオンの付着×紫外線によるダメージも考えられる
水道水は上記塩素によるダメージの他に、鉄や銅で出来た水道管を通ってくることから金属イオンが付着し、そこに紫外線が加わることで髪へのダメージが強くなることが分かっています。[1]
美容室のトリートメントの中には金属イオンを除去するジカルボン酸を使ったものもあるので、もしかすると水道水のせいかも?と心当たりがある方は美容師さんに相談してみてくださいね。
塩素による髪ダメージを防ぐ方法はあるの?
プールや水道水に含まれる塩素が、髪にダメージを与えることがわかりましたね。
それでは、塩素で髪を傷めない対策はどのようなものがあるのでしょうか?
それぞれの対策方法をご紹介します。
プール後はしっかり髪を洗う
プールに入る前の対策方法としてゴム製スイミングキャップをご用意いただくことをご紹介しましたが、プールから帰るときの塩素対策もご紹介しますね。
プールから出たらシャワーでしっかりと髪についた塩素を流し落とし、塩分濃度を下げておきましょう。
シャワーのお湯洗いだけでなく、できればシャンプーまでしましょう。
注意点として塩素によってキューティクルが傷みやすい状態なので決してゴシゴシと髪同士を擦り合わせたりしないでください。
家に着いてシャンプーをするときも髪を擦り合わせるように洗うのではなく、指の腹で優しく頭皮をマッサージしながら髪についた汚れや塩素を洗い流しましょうね。
最後の仕上げはトリートメントで髪を保湿&毛髪補修して、労わってあげてくださいね。
シャワーヘッドの交換して塩素除去する
水道水の塩素で髪が傷んでいると感じたら、シャワーヘッドを塩素除去のできるタイプに交換してみましょう。
使いやすさやシャンプー前の予洗いといった機能がついているかどうかで様々な商品が用意されています。
シャワーヘッドを交換することで塩素を除去し、髪へのダメージを減らすのも効果的です。
塩素除去できるシャワーヘッド
月額制でサブスク対応のシャワーヘッドもある
リフトアップしたキューティクルを整える習慣をつける
塩素を含んだ水に触れると髪表面のキューティクルが変質してめくれあがってしまうことをリフトアップといいます。
髪が傷みやすくなっているこの状態を落ち着かせ、整えるにはどうすれば良いのか解説します。
シャンプー&トリートメントを終えた後の髪は、ドライヤーを正しく掛けることでキューティクルを落ち着かせることができます。
ドライヤーは髪から20cm離して、ドライヤー先端の首を振るように温風を当てながら使用します。
温風を1か所に当て続けないように注意しながら、頭皮から髪を乾かしてあげましょう。
毛先から髪を乾かすとオーバードライといって過乾燥状態になります。
オーバードライについては「ダメージヘアにつながるオーバードライとは?ドライヤーで髪を乾かす時の注意点について」をチェック!
乾きにくい根元から乾かすことを意識しましょう。
また、キューティクルの向きは根元から毛先へ並んでいることから、上から下へ温風を当てると良いでしょう。
最後は冷風を当てることでキューティクルが引き締まり、髪にツヤが出るようになります。
洗い流さないトリートメントとしてヘアオイルも使ってみてください。
タオルドライしたあとの髪に馴染ませ、ドライヤーでブローすると髪がしっとりとまとまりの良い状態になります。
油分で髪をコーティングするため指通りも良く、傷んだ毛先までしっとりとなめらかに仕上がります。
翌朝も髪のまとまりが良い状態が続くため、ヘアセットにかかる時間も短縮できておすすめですよ。
ダメージ補修できるヘアオイル
5,800円(税込)〜
おうちでできる酸熱トリートメント
3,800円(税込)〜
塩素が髪に与える影響について、まとめ
塩素が髪に与える影響は以下のとおり。
- 塩素濃度が高い水にさらされると、髪の毛を構成するタンパク質が変性しダメージを受ける
- 髪の毛表面のキューティクルが浮き上がったり剥がれたりしてパサつきの原因になる
- 塩素以外にも、水道水の金属イオンは髪に付着して紫外線にあたるとヘアダメージの原因物質になる
シャワーヘッドを交換したり、アウトバストリートメントでダメージを補修したりして、対策しましょうね。
5,800円(税込)〜
参考文献
[1]水素による髪の紫外線ダメージ抑制効果について 大河内正一、新原寛晃、山岡卓司、市田叶美、鍵和田聡、常重アントニオ